
章明監督、応亮監督、(1人おいて)、寧瀛監督 |
26日午後、フィルメックスに出品された3本の中国映画の監督が集まり、「中国映画のいま」と題されたトークイベントが開催されました。
いまの中国における映画作りの現状を、主に資金面などについて語ってくれました。 |
■中国映画の現状。まずは制作について
章監督)今は主に3つの方法で撮られています。
第一は短編などをDVで撮ること。応亮監督の作品がそうですが、家庭用DVで撮ることでほとんど金がかかりません。1〜2万元を親から借りれば済むことです。
第二はHDで撮ること。これは商業ベースに乗るかどうかを判断してからフィルムにすることができるし、無理ならテレビ放映するかDVDにして販売するのも容易です。
第三はフィルムで撮ること。これは100万元程度の出資金では困難です。スターの起用もできないし、ほとんど1テイクで撮るしかありません。最低でも150万元はいるでしょう。DVD化やテレビ放映権を売ることで、それぞれ60万元程度は得られるので、その程度の資金を得ることは可能です。
ただ、商業ベースに乗るかどうかはかなりの賭博です。宣伝費には100万元ほどかかるので、1000万元の興行収入が無ければ失敗ということになります。
応監督)私たちの世代は、何を撮るかも誰に見せるかも自由に、好きなようにやっているだけです。かつて日本は70年代に8mmで自主映画を撮るのが流行ったと聞いてますが、8mmでは劇場公開は無理です。でも僕らはDVで撮って劇場公開することも可能です。
今の中国では、年間2〜3本の大作だけがコストを回収できていて、ほとんどの作品は失敗しています。
私たちが撮るような作品は、電影局の許可も下りにくいし、好きなように撮って学校やバーで上映するだけです。金が足りなければ、稼いでまた続ければいいし、資金については無関係ですね。
実際、映画館は高いけど芸術映画を見たいという中国人はたくさんいます。DVDにするとか、ネットにUPして見てもらうという方法で、そういう人たちに見てもらえれば満足です。
寧監督)私は、映画を撮る以上は映画館で上映されるべきだと思います。芸術映画ならなおさらです。そうでなければ"自殺映画"だと考えています。
ですから、当然商業性を考えなければなりません。それが自分の意図とどの程度合わせられるか、というのが問題になってくると思います。
『無窮動』は自分の会社で出資し、それ以外に大きな会社からも資金提供を受けています。35mmもHDもどちらも使っています。それぞれに短所長所があるので、使い分けていけばいいと思います。
■寧監督の『無窮動』はイタリアで編集したようですが?
寧監督)技術的に中国では難しいので、イタリアでやることになりました。イタリアはフィルムのノウハウの蓄積があり、技術がとても高いのです。日本やスイスでもやってみたことがありますが、やはりイタリアになりました。コストというより、人材。あくまで技術的な理由です。
■政府からの資金援助はありますか?
章監督)テレビの映画チャンネルは視聴率が高く、広告費も数億元を稼いでいます。そのため、政府は毎年3000万元ほどを出して映画製作を助成していますが、それは大規模な映画に限ってのことで、我々のような芸術映画には無関係です。
■電影局の検閲はどうですか?
応監督)昔に比べると検閲もゆるくなっています。大体の構想を出せばいいことになっていて、思想的な審査や要求は減ってきています。
でも、私はそういうことは考えてません。劇場公開される大作なら審査は切り離すことができませんが、私は審査とは無関係だと思ってます。
章監督)国内の映画館で公開するなら審査は不可欠ですが、海外での上映なら無関係です。もちろん、基本は審査を受けるべきですけど。
■DVDについて
章監督)私の作品は、中国では劇場公開されていませんが、幸いテレビでは放映され、多くの人に見てもらいました。また、DVD化もされ、これは正規版で40万枚ほど売れています。ただ、海賊版はその倍売れていると聞いています。
DVDは、発売元が売れるようにとパッケージを成人映画仕立てにしているんです。内容とは無関係の写真を転載したりして。それで売れていることもあります。
応監督)映画のチケットは高いので、安いDVDや海賊版になってしまうんです。私はDVDやネット配信に将来性があると思ってます。
寧監督)私はやはりお二人には、是非スターを起用して商業ベースに乗せた映画を撮ることを考えてほしいと思います。チャレンジではありますけど。
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国内でも著名で、事業としても映画作りに成功している寧監督と、海外で芸術性は評価されつつも、国内で無名な章監督と、まったくの新人でメジャーを意識していない応監督。まったく立場の異なる3人の監督による話が聞ける、貴重なイベントでした。
50元前後の今の映画館のチケットは、一般人には確かに高額で、映画館離れが進んでいるのは事実です。メジャーな俳優を使った大作でさえ採算を取るのは難しい現状では、芸術性の高い映画は育ちにくく、それは3人共通の悩みともいえます。
しかし、それでも中国映画は海外で高い評価を得ているし、若い世代も育っているので、将来は期待できそうです。
内容が面白い限り、中国映画業界には希望があるのではないかと思いました。 |