上海国際電影節の特徴は、観客を意識していないということです。ターゲットはマスメディアと業界関係者。もちろん一般人も歓迎していますが、客をたくさん呼び込もうという姿勢はあまり感じられません。
例えばこのパンフレット。ペラペラに薄くて細長い、とても小さなパンフレットです。中身は広告だらけで、映画の情報はタイトルと監督名、俳優名くらい。しかも全上映作品のうち半分くらいしか紹介されておらず、ひどいのはパンフレットには載っているけど上映されない作品まであります。一緒になっているスケジュール表もありますが、パンフレットとリンクしていません。どれがいつ上映されるのか、どんな内容なのか、ちっともわからないというのが現状。これが有料で販売されているのですから驚きです。
では、マスコミに対していはどうかというと、立派な分厚い資料が無料で配布されているし、映画祭新聞も発行されて毎日配られています。右の画像は今回の映画祭の一環として開催された日本映画週間の関係者向け資料。オールカラーで内容も充実しています。非売品なので一般の人は手に入れることができません。ちなみにこれは著者が記者会見場の入口付近でたまたまもらった一冊。
こんな調子ですから、よほどの映画好きでない限り、一般客は映画祭に興味を持ちません。客席はだいたいガラガラで、関係者らしき人々の姿が目立ちます。実際、招待客の比率は相当なもので、一般のチケットが5枚しか売れていないのに、客席の半分以上が埋まっていたこともあります。
どんな映画祭でも、展示会というか交易会という一面はありますが、上海国際電影節の場合はそればかりで一般客は二の次という印象です。映画祭の楽しみである観客と作り手との交流も、ほとんど考えられていません。Q&Aがあることもありますが、これはすべて監督が自主的に(というか勝手に)やっているもので、主催者側は司会も通訳も椅子すらも用意しません。監督が通訳をつれてくるか、あるいは自ら2ヶ国語を使って話します。Q&Aが行われるかどうかは事前に知らされず、ほとんどは無いので、あればラッキーといったところ。もちろん一般人が見学できるシンポジウムやトークショーなどはあるはずもありません。
でもオープニングセレモニーにゲストが来ているじゃないか、と思われるかもしれません。ところが彼らはセレモニーのゲストであって、出品作品とは関係ありません。記者会見に出ることはあっても、観客の前には現れないのです。
|